パラノーマル・アクティビティが日本の配給会社の無節操な宣伝活動で台無しになっていた件

昨日1000円で観てきました。


135万円の予算で15億円の収益を上げた「超低予算ホラー映画」との触れ込みで日本に入ってきたこの映画ですが、ホームビデオで撮影した映像を使うことで「実際にあった事件なのか?」と思わせる「フェイクドキュメンタリー」とか「モキュメンタリー」とか言われる手法と口コミで成功を収めた作品なわけです。


まず、この「超低予算ホラー映画」って言い切っちゃう時点で「実際にあった事件なのか?」と思わせる手法が破綻するわけじゃないですか。
それに、こうやってバンバンCM流してる時点で結構お金かかってますよね?仮に日本でもヒットしたとしても「超低予算ホラー映画が日本でもヒット!」とか言うなよ。135万の予算に日本での宣伝費を加えとけよ。


また、試写会での観客の様子が予告編で使われていたけど、絶叫する人や泣き出す人の映像とかちょっとやりすぎじゃないですかね?
予告で男が飛ばされるシーンが使われてたからずっと「あのシーンいつ来るんだろう」「あんな調子で激しい脅かし方連発してくるのかな」と思って見てたんですけど、飛ばされてくるシーンはほぼ最後でした。まさか最後までそのシーンが出ないとは思わず、「予告で使うくらいだから最低であのレベルだろう」と思ってた。
昨年秋に公開された「スペル」というホラー映画も姿の見えない何かに脅かされまくる映画なんですけど、こちらは「突然映像が変わって大きい音がバーン!」でひたすらに脅かしてくる映画だったので、こういうのを期待しちゃったんですよ。スペルくらい脅かしてくるんなら絶叫したり泣いたりも理解できるんですけど…


というわけで、完全に肩透かしを食らった形になった。
この映画の予告では「実話なのでは?」と思わせる方向にアプローチすべき(こう思わせないと、この映画のホラー性の大半が成立しない)であって「普通に見ただけでとにかく怖いホラー映画」なんて方向に思わせるあの予告は失敗だったとしか思えない。


本編中での手法も込みでだけど「実話なのでは?」と思わせるやり方はフォース・カインドが上手かった。そもそも予算のタカが違うから単純に比べてもしょうがないけど。


とはいえ、ホラーの演出は上手いと思ったし、レイトショー1200円とかなら見ても損はないんじゃないかなーと思わなくはないですね。
ラストシーンは一見の価値ありかな。好みが別れるかもしれないけど俺は好き。


あと、ホラーとしては「やたらビビる女」「調子こく男」の組み合わせってベタだと思うんだけど、男の調子こきっぷりがイラつくレベルだったのが気に障った。
男にありがちな「解明」「解決」に拘るタイプだったし。