結論
最初に結論から書きますが、「×に"決定"の意味があるからPSが原因」ではなく「GENESISのAB(C)ボタンの配置が原因」だと思います。
「なぜ海外でこうなったのか」の話でGENESISの存在を無視する意味がわからない。
ゲームコントローラーの戦犯はSONYじゃない
決定・キャンセルボタンについての認識
まずこの問題は洋ゲーが日本に多く流入するようになったことで取り沙汰される様になった問題です。
我々日本のゲーマーはファミコン→スーファミ→プレステを経由してきてから洋ゲーに触れた勢が多いと思われます。
これらのハードの邦ゲーでは「右が決定ボタン・左(下)がキャンセルボタン」が多く、洋ゲーで採用されている「下が決定ボタン・右がキャンセルボタン」という配置に面食らいました。
洋ゲーが本邦でも多数リリースされたXboxに対して「XboxがAとBの配置をスーファミと逆にしたせいでこんな混乱が起きた」との説が流れ、それに対して「PSの×ボタンに英語圏では"決定"の意味があるからこうなった」という説が発生し、今では「×ボタン起源説」が有力な状態となっていると思われます。
×が"決定"って本当?
あの説では正しくは「×」は「決定」とは言っておらず、「×」は「チェック」ということから「×ボタン」が「決定」にアサインされたという説です。でも「チェック」と「決定」は違うんじゃないの?と。
その辺の話で古い記事で2003年のものを見つけましたが、×が決定とは言ってないんですよね。これ以降で「×に決定の意味がある」的なことを言い切ってるのはある。
ABボタン論 - AYS:
「○」ボタンはキャンセル!? 日本と海外で変わる記号の意味 | A.C.O. Journal | A.C.O. Inc.
□の中に×や✓で「選択」を意味するのは間違いないようですが、「OK」「キャンセル」の二択なら「✓」と「×」が逆の意味を持ち、「×」が「キャンセル」の意味を持ってるっぽいですよ。
それに加えてON/OFFスイッチに描かれた「O」と「I」では「O」が「OFF」の意味だから、「×:決定・○:キャンセル」になったってツギハギすぎませんか?
チェック・未チェックの組み合わせで☒と□があるんだから、「×:決定・□:キャンセル」でも良かったじゃんって思うんですが。
PSの×ボタンが起源とするのは、ファミコン→スーファミ→プレステと辿ってきた流れの先から過去を振り返ろうとした場合の限界であり、洋ゲーが辿った歴史を無視してるんじゃないのかなと思うわけです。
2ボタン時代
ファミコン、PCエンジン、マスターシステムのコントローラーはそれぞれこうなっています。
A,B,1,2いずれにも「決定」「キャンセル」の意味はありませんが、マスターシステムの1ボタンはSTARTと書かれており、決定ボタンをアサインする意図が見えます。
ファミコンソフトの取説として、ファミコンミニのサイトをリンクしておきます。FF3で「Bキャンセル・A決定」になっていることがわかります(ボタン配置順)。
ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ 説明書 | 任天堂
PCエンジンもPCエンジンミニのサイトをリンクしておきます。こちらは邪聖剣ネクロマンサーで「2キャンセル・1決定」であることが確認できます(ボタン配置順)。
PCエンジン mini
マスターシステムはいいのが見つからなかったのでメガドラミニで勘弁してください。シャイニングフォースで「A決定・Bキャンセル・C決定」であることが確認できます(ボタン配置順)。
メガドライブミニ | セガ
以上のことから、8bit機時代から配置ではなくボタン名が若い方から順に「決定・キャンセル」をアサインしていたという歴史があることがうかがえます。
「Xboxがボタン名を逆にしたから説」に対して「Aに決定なんて意味ないだろ」と思いましたが、歴史的には「Aに決定をアサインするべき」のような指針はあったわけです。
また、ボタンを左から順に並べたのはMSではなくセガです。
結論
つまり、セガハードのボタン配置に準拠していたら左(下)のボタンが決定になりがちです(Aや1を「決定」にアサインするという不文律を無視すれば別)。
日本ではメガドライブはそんなに売れていませんが、海外ではGENESISはメチャクチャ売れました。そのせいで、GENESISの仕様がデファクトスタンダードとして普及したんでしょう。
もしPSがスーファミと同じボタン名・ボタン配置だったらどうなったかわかりませんが、「PSのパッドがどうとでも解釈できるボタン名」だったのが災いしてデファクトスタンダードであるセガ側に寄せてしまったこと、Xboxもセガ派のボタン配置だったことから海外では完全に「下決定」が主流になってしまったと考えます。